Ossan's Oblige ~オッサンズ・オブリージュ~

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

カンボジアって、なんかインドと似てね?【カンボジア・インド同祖論1/3】

カンボジアってインドと似てない?

インドの後にカンボジアを訪れた人なら、誰もが次のような印象を持つのではないでしょうか?

「インドと似てね?」


インド滞在後、カンボジアへ初めて入国した際には、妙なインドとの親近感に襲われたものです。
特に、カンボジアの伝統文化を体現する古都・シェムリアップであっただけに、その既視感はカンボジア性とインド性の近さを認識させずにはいられませんでした。

人々の顔つきや雰囲気、街や建造物の色調、所々に不備のあるインフラ、都市の作り、商店街に掲げてある看板の雰囲気、またその看板に記されている「どこかで見たことのある」クメール文字。

シェムリアップの都市を歩いて浮かび上がるのは、3年前に南インドの都市群で目撃した都市景観とのデジャブでした。

舗装すらされておらず砂がむき出しの地面、
過去に舗装された道路や下水管は、何らかの衝撃で大きく破損し、凹凸があって危ないところも共通。

歩いていたらこちらを凝視し、満面の笑顔で話しかけてくる濃い肌色と彫りの深さを持った底抜けに陽気な人々。

既に色々な記憶に上書きされつつあった3年前のインドの思い出が、記憶の彼方から表層へと舞い戻ってくる心地でした。


実際にカンボジアがインドが似ているという人は多い

「カンボジアがインドと似ている」という意見は私だけのものではありません。


プノンペンの歴史博物館で見知らぬフランス人と話をする機会があったのですが、彼はしきりに次のように語っていました。

  • 「この地域の人々にはインド人の血が入っていると思う。」


人々の雰囲気、建造物の構造、宗教モチーフのテイスト、この辺りに類似性を感じたそうです。

西洋人の目からしても、カンボジア人はインド人と近く見えた様子。


それは日本のウェブメディアでも同じでした。

Yahoo!!知恵袋で「カンボジア インド 似ている」というワードで検索をかけると45件がヒットし、
「なぜカンボジア人だけインド系が少し入っているのですか?」
といった質問が投稿されています。

両国を訪れた少なくない人が、カンボジアにインドとの類似性を感じている様子。

それでは、カンボジアとインドの間には、本当に類似性が確認できるのでしょうか?


平均顔と文化遺産の比較

実際に、カンボジア人とインド人の容姿を比べても、近いものが確認できるように伺えます。
また、両国を代表する宗教モニュメントも、ヒンドゥー文化を継承している点で共通します。

比較にあたり、まずは両国の平均顔を比較してみましょう。
以下は、「Face of Tommorow」プロジェクトが提供する各国の平均顔から抽出したカンボジア人女性とインド人女性の平均顔です。



「Face of Tomorrow」プロジェクトとは
南アフリカ共和国出身でトルコのイスタンブル市ベイオールを拠点に活動する写真家・Mike Mikeさん(1964年生まれ)が旅行中に撮影を許してもらった100人の顔をコンピュータグラフィックスで解像し、平均顔を割り出したプロジェクト。
100人というサンプルの少なさが疑問視されがちである※ものの、国別の顔の傾向を知る上では役に立つはず。
(※ 白人人口が9.2%に過ぎない南アフリカの平均顔が典型的な白人顔であるなど)



次は、「Face of Tomorrow」が示すカンボジア女性の平均顔です。

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カンボジア女性の平均顔

丸型で小さい顔、地黒な肌、丸い目、低く幅広な鼻、薄い口などが特徴的。

美形ですね。


続いて、インド人の平均顔。

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インド人女性の平均顔

丸型で小さい顔、地黒な肌、彫りの深い目、尖形の鼻、薄い口などに特徴があります。





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カンボジア女性の平均顔
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インド人女性の平均顔




両平均顔に確認できる特徴は、顔の形、肌色、口の形、などです。

しかし、やはりこの比較からは、隔たりを感じてしまいます。

インド人女性はイラン系のインド・ヨーロッパ系統、カンボジア人女性はモンゴロイド系統の人種的傾向が伺えますよね。






しかし、「平均化は突出を隠す」ように、実際の個々人の顔つきを、平均顔から探り出すことはできません。

例えば、以下の少年。(カンボジア・シェムリアップ市)

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シェムリアップ市の少年。(Face of Tomorrow : http://facesoftomorrow.com/cambodia_photos14.phpより)

明らかにインド・アーリア系の特徴を引き継いでいるように見えます。

「100人の平均顔」には表れていませんでしたが、私がカンボジア旅行中に度々インド人と錯覚したのは、上の写真のようなインド・アーリア系の顔付きをしたカンボジア人です。

反対に、タイやベトナム(の歴史的中心を担ってきた地域)には、この系統の顔つきはほとんど見られなかったと思います。




カンボジアとインドの宗教建築を見ても、テーマの類似が明らかに確認できます。

エローラ石窟寺院(インド : 7世紀)

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アンコールワット(カンボジア : 9世紀)

これら建築物の宗教モチーフは、ともにヒンドゥー教。

ヒンドゥー教の発祥がインドである以上、インドシナ半島にあるカンボジアのヒンドゥー教えはインドからもたらされたとしか考えられません。

もしそうであるなら、文化伝播の担い手となった多くの人々が、インドから海を渡ってカンボジアの地に足を踏み入れたのではないでしょうか?



こうしたカンボジアとインドの類似性は、歴史上のどこかに確かなルーツが確認できるのでしょうか?

以降、カンボジアとインドの類似性の背景にあるルーツについて、探っていきたいと思います。