オッサンズ・オブリージュ

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

【殺伐とした首都】カンボジア-プノンペン旅行の総評【南京虫おるで】

1431年、東方への勢力拡大を目論むシャム(タイ)人の攻撃によって、クメール王朝の首都アンコール(シェムリアップ)は陥落を迎えました。
都を追われたクメール王家は、新たな首都を求めて移動を開始。
その結果、「4つの川が合流する」水資源豊かな土地がクメール王家の目に留まります。
こうして歴史に登場したのが、クメール王朝の2番目の首都であるプノンペンです。

クメール語で「プノン」は丘を意味し、「ペン」は、都市の発祥にゆかりのあるワットプノンの建設者の名前に由来します。

フランスの進出後は、フランス領インドシナ有数の都市として再建され、「アジアの真珠」として親しまれることになります。

入国まで

シェムリアップから陸路で入国したので、入国審査はなし。

シェムリアップの路上から10ドルのローカルバスを使い、7時間の長旅を経てプノンペンにたどり着きました。

プノンペンの物価

カンボジア国内では、ドルが通用しています。
4000リエル=1ドルで併用可能。
値札がキリの悪いとリエル表示だと計算に苦労します。

商品名 価格(ドル:$) 日本円換算
安宿 10~15($/泊) 1,120~1,680(円)
飲食1食の相場 1~2($) 112~224(円)
缶ジュース250ml 0.425~0.525($) 48~59(円)
缶ビール 0.75($) 84(円)
水500ml 0.475($) 53(円)
散髪(クオリティGood) 1.5($) 168(円)
トゥースレン虐殺収容所・入場料 5($) 560(円)
首都とはいえ、シェムリアップとの物価差は感じませんでした。
違いは、商業施設の多さです。
グローバルな飲食店が豊富なので、食の供給に役立ちました。

日系コンビニ店も目立ちますが、弁当系の品揃えに乏しいのが残念なところ。
食の衛生に欠けるカンボジアだからこそ、衛生に厳しい日本の弁当に需要が生まれるのではないでしょうか。


安ホテルのクオリティ

シエムリアップのホテルに比べると、内装がゴージャスなイメージ。
エアコンが正常に動く(ガンガンに効く)ホテルの割合が、シエムリアップに比べると高い。
シエムリアップと同じでWifiは安定せず、冷蔵庫もホテルによって有ったり無かったりします。


内装の豪華さは評価できます。

しかし、南京虫に遭遇したことは報告しなければなりません。

南京虫の出た部屋。10ドルの安宿。鴻蕃客桟105号室

南京虫とは、猛烈な痒みを伴う噛み跡を残す吸血害虫のこと。
旅行者の荷物に潜み移動することで、生息圏を広げていくモンスターです。
インドに多く分布しており、インドから受けた影響が大きすぎたのか、シエムリアップ、プノンペンの両方に南京虫が生息している模様。

特に、日当たりの悪さが繁殖に拍車をかけてしまっているとのこと。
これは、太陽光を遮断しようと、大きな建物の影になる場所にホテルを建設していることが多いためなのだとか。

南京虫が出現すれば、どんな1流ホテルも西成区の宿に成り下がります。

せっかくのプノンペン旅行を台無しにしないためにも、先人が残したホテルレビューは参考にしたいところ。
ネットで調べるとけっこうなヤバイ安宿が、報告されているものです。


もし万が一遭遇したら、確実に寄生を防ぎ、日本に持ち帰らないことが大事です。


プノンペンの食べ物

真っ白のご飯に、肉、卵、野菜を乗せたシンプルな料理が基本。

123円

全体的な味のテイストは、日本食と似ていて、屋台では煮物チックな料理もお目にかかれました。

これで1ドルほど。安いものの、衛生的な不安が残る。

一方、フランス文化の影響を受けたヌンパンという食べ物もあります。

ヌンパン。パクチーがきつい。

このパンは、自分の舌とは、相容れない味を感じました。
なぜなら、東南アジアではお馴染みの、刺激的なパクチーが入っているからです。

ベトナム料理におけるパクチーは、みじん切りや細切れでスープに混ざっているのが基本。
一方、ヌンパンにおけるパクチーは、原型を留めたまま、枝一本分ほどのパクチーがパンの具として挟まっています。
原型を留めたパクチーの風味は、カメムシの匂いからギリギリ臭気だけを除去したような刺激性の臭い
当たり前のように口に運ぶ現地人に驚きます。

あまりにも強烈すぎるパクチーを抜き取ることで、ようやくヌンパンを楽しめました。
(パクチー抜きのヌンパンは、パテ、挽肉、ソースなどが入って、とても美味しい。)


ヌンパン屋

また料理の副菜として、まだ熟していない緑色のトマトを添えてくることが多いです。
たいていショッパいので、個人的には苦手でした。

なお、衛生的に劣悪なお店が多いです。
食あたりを防ぐためにも、オーダーが入ってから調理を始める(加熱してくれる)お店を選びたいところ。
特に、「旅行者下痢症」は、途上国への旅行者に20-60%程度で起きている症状です。実際に発症した1人としてこれは警告させてください。
緑色の生野菜でさえ、洗浄に使われた残留水道水でお腹を壊してしまうケースが多く、忌避している人もいるほどです。

例えば、以下の画像。
優雅な食事に見えますが、これを食した翌日お腹を下しました。
他には、加熱した食品や加工食品しか食していないので、間違いありません。

レストランの食事。翌日お腹を壊した。(おそらく生野菜を洗った水が原因)

(ちなみに、200円ほど)

ノイローゼから野菜不足に陥ってしまう旅行者も少なくないようです。
安全な食の調達は、プノンペン(カンボジア)を旅行する上での重要課題といえるでしょう。

街の風景

都市化が進んでいて、道路の舗装率の高さは、シェムリアップと好対照でした。(バンコクほど綺麗ではないにせよ)

ルアンパバーンやハノイに比べると街を走る車の割合が格段に高く、中心エリアでは新車と見られる高級車が肩を切って走っています。
とはいえ、産業の少ないカンボジア。
富裕層は、外国人か、土地成金か、中国への賄賂で飯食ってます的な人であることがほとんど。(もちろん真っ当な企業経営者も多い)
そうした「勝ち組」市民は、多数派のカンボジア人に比べ、格段に少ない規模です。

こうしたことから、鬱屈した下層市民の不満が都市の空気に堆積しているように感じました。
首都特有の女性比率の少なさも影響し、欲求不満を抱えたようなイラついた人が多く、都市全体の空気が重々しい。

近年は実際に、裕福な外国人を狙った事件や、殺人事件も起きています。
目立つ行動はNGです。


プノンペンの人

首都ゆえ、雑多な人々で構成されています。
馴染みの薄い自分には、目の前を歩いている人がカンボジア人なのかベトナム人なのかタイ人なのか、全く見分けがつきませんでした。


日本の首都、東京がそうであるように、サバサバしている人が多く、余計な面倒ごとに関わろうとしない雰囲気を感じました。

経済格差に加え、首都の特徴として男優位なので、都市全体がギラついていて妙な威圧感を覚えることが多い。
街中で上半身を露出している男たちの姿を、度々目撃しました。

カンボジアは汚職国家です。
したがって、賄賂外交に積極的な中国、韓国を支持する人が、国家の上層部に多い。
とはいえ、民間の間では日本人気が根強い模様。(フランス領インドシナからの独立を助けた)

自分もたびたび、特別な目で見られている印象を受けました。


インドとの類似点・相違点

東南アジアは、インドのバラモン階級が移住するまで、未文明の土地でした。

その後、インドのバラモン階級が移住したことを契機に、インド式の文化・統治方式が伝播し、統一王朝が現れたところから歴史が始まっています。(東南アジアのインド化)
一度バラモンがインド化を進めると、これに更なる全階級のインド移民の移住が続き、シュリーヴィジャヤ、パレンバン、真臘、扶南、チャンパーなどの統一王朝が歴史に現れます。

インド化した東南アジアの国々

東南アジアの中でも、カンボジアは最もインド化の進んだ地域です。
これは、カンボジアの地が、インド・東南アジア貿易の要衝だったためです。

人々の容姿もインド人に似ている人が多く、穏やかで陽気なところも、インドとの親近性を感じさせます。
宗教も、ヒンドゥー教、仏教とインド原産の教えを受け継いでいます。

人々の間に歴然と認められる格差、またそれに対する是認も、ヒンドゥー教の影響かもしれません。

露骨に悪い衛生管理、徒党を組んだ状況でだけやけに強気な犬たち、というのもインドで見た光景でした。

とはいえ、インドのような悪質な騙し・ボッタクりは少なく、不快な思いはしませんでした。

祖先は同じでも歩んできた歴史は異なります。

そうである以上、カンボジアがインドと異なる国であることに変わりはなさそうです。


改善してほしい点、注意点

ひったくり被害に遭いました。

カンボジアの平均給与は月150ドル程度。(約16,500円)
格差が広がる中、取り残された貧困層の中には、法を破ってでもチャンスを得ようという考えの人間が一定数います。
外国人は軽犯罪の的になりやすいので、ひったくりへの防止策は、必ず講じたいところ。

シエムリアップでは犯罪と無縁だったので、油断してノーガードで歩き回った結果、自分もポケットに入れていた財布と5ドル紙幣を抜き取られてしまいました。
ポケットに不用意に入れた財布や紙幣は、盗まれると思っておいた方がよいでしょう。
彼らは、人ごみの中で相手に接れないまま、ポケットから物を抜き取る技術を心得ています。
そのため、都市を歩く際は、絶対に大金は持ち歩かず、財布と体をチェーンで括り付けるか、腹の前に結びつけるウエストポーチを装着することが望ましいです。


総評

賄賂や投資で莫大な富を得た一部の富裕層と、発展の恩恵に預かれない大多数の貧民に完全に分離している影響を受けました。
この不安定さは、体制にとって大きなリスクであり、底流に流れているフランスの影響から、もはや予兆的とさえいます。

これを防ぐには、下層民に仕事を分け与えることが絶対の必要なのではないでしょうか?

現先進国の日本もドイツも、かつては貧しい新興国でした。
大きな発展を促したのは、「国民車」の製造です。
車の製造で需要(仕事)を創出し、自動車購入のためのローンで信用創造を刺激し、社会の富を健全に増幅させていけたのが成功の秘訣でしょう。

一方、完全に先進国企業の市場として扱われているこの国では、自動車を自国で製造するのではなく、海外で作られたものを輸入車として購入しています。
これは膨大な関税で官吏の懐を膨らませる一方、需要を創起できないため、自動車購入できる民間人の数を大いに制限してしまいます。
おまけに関税のために購入金額は水増しされ、事故車を修理した再安価の4,000ドル程度の車でさえ、月150~500ドル程度の給与ではローンを使わずには購入できないとのこと。

こうしたローンの資金繰りに失敗し、袋小路に入り込んでしまう人が少なくないありません。
こうした層が「革命」の危険分子となるでしょう。
外国人を対象とする排斥、犯罪の種にもなるので、私たち外国人にとってもやぶさかではありません。


とはいえ、いま後進途上国のカンボジアも、潜在的な能力は有しています。
なにせ、ローマに匹敵するほどの、古代遺跡(特にアンコール・ワット、バイヨン)を残した人たちです。

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壮大なるアンコールワット(シェムリアップ)

古くはタイ・ベトナム、近代はフランスの植民地としての歴史に甘んじてきましたが、本来のクメール人は、並並ならぬ底力を有している人たちなのです。

だからこそ、まず必要なのは、自国自動車メーカーの創造ではないでしょうか?
自動車製造の事業を民間に開き、ベースの仕事を提供した上で、ローンを進め、信用創造を重ねることでパイの拡大を図る。
そうした先進国が歩んできた道をカンボジアも歩むべきです。

とはいえ、カンボジア独力では、脱出は無理でしょうから、日本のサポートが必要だと考えます。
日本にとっても、カンボジアの問題は他人事ではありません。
今の汚職まみれの状態のまま進めば、カンボジアにはいずれ、中国の影響力が及ぶでしょう。
そうなると、中国は中国車の製造をカンボジアで始め、現地生産された安い中国車で日本の輸入車を駆逐しにくるはずです。
国内で製造された車には関税がかからないので、現地民は、高い日本の輸入車(中古車)よりも、新品で安い中国車を選ぶことでしょう。
中国にカンボジアでのシェアを奪われれば、日本の自動車メーカーは衰退します。
そうなる前に、日本との合弁でカンボジア・オリジナルの自動車の製造を開始させるべきではないでしょうか?(国民車アンコールとかカッコ良さそう)

旅をしていて、カンボジア人の仕事のクオリティは、低くない印象を受けました。
堅実なサポートをすれば、品質の良い仕事をリターンしてくれると思います。(アンコールワット・クオリティ)