オッサンズ・オブリージュ

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

【東南アジア文化の原点】カンボジア-シェムリアップ旅行の総評【入国時にドル持ってないとどうなる?】

シェムリアップは、膨大な宗教建築を遺したクメール朝の初期の首都です。(1431年のアユタヤ朝の攻撃の後、プノンペン遷都)
その時代の名残は、アンコール・ワット、アンコール・トムをはじめとする豪華な宗教遺物に残り、今なお輝きを失うことがありません。
タイ、ラオス、ビルマの宗教の土台にも先住クメール人の文化が流れています。
この、東南アジア諸国の原点ともいえる中世インドシナ半島の中枢都市に滞在したので、レビューを残したいと思います。

入国まで

ビザの取得が必須。日本のパスポートでもノービザ入国はできません。(2019年1月時点)

観光ビザ取得の方法は3つ

✔︎ e-Visaの取得(クレカ支払い)
✔︎ 日本のカンボジア大使館から取得(窓口or郵送)
✔︎ 現地取得

最も手軽に取得できる現地取得を好む人が多く、カウンターの前にはビザを申請する人たちの群れでごった返していました。

現地取得の場合、費用は、30ドルと顔写真(なければ+2ドル)
カウンター前の机で記入した必要書類と費用をカウンターの空港職員に渡します。
すると、流れ作業式に進み、奥の職員から完成したビザを受け取ることができます。

ただし、注意点が1つ。
(ドルを用意していない場合)支払いは、円でも可能ですが、その場合5,000円徴収されることになります

30ドルは、日本円で3,270円です。(1ドル109円)
残りの1,730円は手数料でしょうか?

「レートがおかしい」と頼み込めば、荷物とパスポートを預けることで、為替交換所のあるゲート先まで通して貰えます
しかし、その先にある交換所のレートは1ドル119円の割高レートでした。(2019年1月、1ドル=109円)

「2,000円近い手数料」と割り切れる方以外は、日本で30ドル用意しておいたほうが良さそうです。


空港を出た先は道路に面しており、市街地までは10km程。
道も一本道ではありません。
市街地までのアクセスは、トゥクトゥクかタクシーを使うのが賢明でしょう。

シエム・リアップの物価

カンボジア国内では、ドルが通用しており、4000リエル=1ドルという価値で併用できます。(価格がキリの悪いとリエル表示だと計算に苦労する)

商品名 価格(ドル:$) 日本円換算
安宿 10~12 ($/泊)〜 1,120~1,345 (円)
飲食店の1食 1~2 ($) 112~224 (円)
缶ジュース 0.5~0.625 ($) 56~70 (円)
缶ビール 0.75 ($) 84 (円)
カップコーヒー・シェイク 1~1.5 ($) 112~168 (円)
おいしいパン 0.75 ($) 84 (円)
ステーキ 5 ($) 560 (円)
パスタ 2.5 ($) 280 (円)
ハンバーガー 1.5 ($) 168 (円)
ヌンパン 1.5 ($) 168 (円)
アンコールワット入場料(1日) 37 ($) 4,145 (円)
バス(プノンペン) 10 ($) 1120 (円)

安宿のクオリティも、ルアンパバーンより高く、及第点という印象を受けました。
物価も日本の2~3分の1ほど。
過剰請求も少なく、低コスト生活を実践する国としては、悪くない部類だと思います。

ただし、熱帯特有の熱気、食品衛生のズサンさが、無駄なコストを生む可能性が高い国でもあります。

安ホテルのクオリティ

1人部屋の場合、1,000円(エアコンなし)~1,200円(エアコン付き)/ 1泊が相場。ドミトリーはさらに安価です。

6畳~8畳程の部屋の中に、Wifi、冷蔵庫、空調機(エアコン/ファン)、ベット(清潔感があり、幅が広い)、ドレッサーなどの設備が揃っており、居心地は良かったです。
中には、冷水しか出ない、冷蔵庫がないといったホテルもありましたが、1泊1,000円程なので仕方ない面もあるでしょう。
もし嫌でも、同一価格でより条件の良いホテルに移動すれば良いだけです。(ホテルの数は多いです)


残念な点があるとすれば3つ。
Wifiの不安定さ、防音の弱さ、虫の侵入のしやすさです。

Wifiにアクセスできなかったり、繋がっても突然止まることが多くのホテルで起こりました。

防音にも配慮が薄く、戸が薄かったり、完全に閉鎖できないタイプの窓(1つの窓が3枚の戸で構成されているとして、そのうちの1つが網戸)にも遭遇しました。

また、蚊の多いカンボジアでは、部屋に入ってくる確率も高くなります。
夜中にプンプン飛び回ってやっかいな蚊は、デング熱やマラリアの媒介主でもあるので絶対に対策が必要です。
外務省も「蚊に刺されないように」注意を呼びかけているので(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/cambodia.html)、蚊取り線香を携帯して安全に過ごしましょう。



(なお、自分は遭遇しませんでしたが、ホテルレビューの中には南京虫の出現報告が残されているものも散見されたため、評価の低いホテルは避けましょう。)


シエム・リアップの食べ物

ナンプラーを多用することから、腐敗臭さえ漂う屋台飯。
でも、慣れたらとても美味しい。
屋台の基本は、フライド・ライス、フライド・ヌードル、ヌンパンでしょうか。
基本的に日本食に近い味付けだったので、ルアンパバーンで猛烈に感じた日本食欠乏症とも無縁に過ごすことができました。

中でも最高だったのが、キムチの白菜をニンニクで置き換えたようなローカルの副菜です。

美味しいローカル漬物

これは他の東南アジア諸国で見られなかったので、カンボジア・オリジナルなのでしょう。
産業の少ないカンボジアにおいて、輸出商品化が十分に可能な食品だと感じましたが、どうでしょうか。


街の風景

産業が発達していないため、露天販売に従事する人が多い。
道路の両端にはたくさんの人が陣取り、炎天下の下、屋台や販売所を行なっています。
激しい売り込みはなく、笑顔で「どうですか?」と聞いてくる程度。


交通事情は、自動車比率の高さが目に入ってきます。
中古車の佇まい、未舗装の道路ゆえ砂煙で汚れたトヨタのハイランダーやレクサス。
中古車が基本ですが、中にはピカピカの大型車もいます。

とはいえバイク乗りの方が圧倒的に多く、颯爽と通り過ぎていく4人乗り家族の姿はシエムリアップでも確認できました。
車種はホンダが主流です。

夜になると、犬の縄張り意識が一気に強くなり、縄張りに一歩足を踏み入れた途端に咆哮を浴びせてくるのは、もはやマナーのレベル。
しつこく追尾してきたり、仲間を呼んだりするものもいます。
最初は、背後から浴びせられる怒号、執拗な尾行に恐怖を覚えるかもしれませんが、一度振り向いて身構えると恐れをなして後ずさる臆病な犬ばかりです。

昼間の都市では、幼稚園児くらいの子供集団に囲まれ、4歳くらいの男児に頭を叩かれている光景も目に入ってきました。
夜歩きにおいて避けられない煩わしい現象ですが、縄張りから人間を追い出したいだけなので、こちらから攻撃しなければ、噛みついたり危害を加えたりしてくる危険性は少ないでしょう。(とはいえ狂犬病の媒介主なので近寄らないことが大事。カンボジアが今後発展していく過程で、保健所の手で駆除されるんだろうなあ)


シエム・リアップの人


街を歩いていると、満面の笑顔で”Hello!!”と声をかけてくる子供たち。

つい40年前まで自国民同士で虐殺を行っていたとは思えないほどの明るさ。

あの悲劇は、ポルポトによって洗脳された少年兵の手によるもので、カンボジア本来の人々は平和主義者が多い(?)ように見えました。

(※ こんな明るく陽気な人たちを危害を加える日本人が現れたことに、大変遺憾に思います。)

道に迷ってトゥクトゥクの運転手に頼った時は、お金の額に関係なく、問題解決まで辛抱強く付き合ってくれる人が多く、助けられました。


時には吹っかけられることもありましたが、適正料金で走ってくれるドライバーの数がそれ以上に多いので、早い段階で適正相場を知ることができます。(5km程度なら1~3ドル)

しつこい売り込みやぼったくりもほぼなし。
多少あっても2000リエル(0.5ドル)の缶ジュースが3000リエル(0.75ドル)になったりする程度のことで、ダメージは小さかったです。

邪気を感じることがなく、熱帯特有の底抜けの明るさを持った人たちが多かったです。

インドとの類似点・相違点

宗教も、ヒンドゥー教、仏教とインド原産の教えを受け継いでいます。

露骨に悪い衛生管理、徒党を組んだ状況でだけやけに強気な犬たち、というのもインドで見た光景でした。

とはいえ、インドのような悪質な騙し・ボッタクりは少なく、不快な思いはしなかったので、非インドの国であることに変わりはなさそうです。

改善してほしい点、注意点

真っ先に思い浮かぶのが衛生問題。

食あたり(旅行者下痢症)は、途上国を訪れる人の20%以上が発症すると言われる症状です。

この点は、カンボジア(シエムリアップ、プノンペン)を訪れる人に警告したい最大の問題点といえます。

実際自分も罹患した1人で、シエムリアップ3日目から約10日間に渡り、ひどい食当たりに見舞われました。

結局原因は分からずじまいでしたが、「露店販売のシェイクが安い」と、安易に飲みまくったのが良くなかったかなと思います。(氷が怪しい

主な罹患経路は、水と食品です。

カンボジアは、水道水が飲めない国。

ジュースに入っている氷も、既製品を使っているか怪しい屋台もあります。
また既製品の氷でも、販売元の業者が衛生基準を満たせていないケースもあるので、注意が必要です。

食品も、衛生管理が不十分です。
熱帯の国にも関わらず、ローカルの店では、何時間も前に作られた料理が、炎天下の中、店頭に並べられ再加熱もないまま顧客に提供されている光景が目に入ってきます。

それを反省してか、観光客向けの屋台では、オーダーが入ってから調理・加熱を開始しているようでした。



こうした水、食品の衛生問題は、観光客の努力だけでは防ぐことに限界があります。

滞在直後に罹患した私は、日系コンビニ店の既製品だけを使用して日々を過ごしていました。
(その間、健康被害はなく、後レストランに手を出した後でまた罹患した


またシエムリアップは、一面コンクリートのプノンペンと異なり、中心部でさえも未舗装の道路が多いです。
学校のグラウンドのような、拡散性の砂が堆積していて、砂埃が激しい

高級な靴を履くことは控えた方が良い

これは、ある意味、古都としての魅力を引き立てており、古都としての趣と見ることもできます。

しかし、やはり煩わしいので(靴の劣化は避けられない)、観光客が通る道は確実に舗装を行なってほしいと思いました。

プノンペンに向かうバスについて

他国と陸路で接する東南アジア諸国は、相互にバス移動が可能です。
その様相は、EUさながら。
ここシエムリアップでも、「バンコク」「プノンペン」「ホーチミン」といった都市と結ぶバスが運行されており、時間はかかりますが、複数の国を安価に行き来できます。

当時遺しておいたメモを載せておきます。

プノンペンまで10ドル。7時間の運行。
窓側の座席の上部に冷気の出る小さなファンが2つ付いていて、涼しい。
バスの機内に自転車を持ち込む少年を発見。
バス先頭、上部の端末にカラオケ式のヒンディーミュージックPVがひっきりなしに流れる。
悪くない。
途中、こまめに休憩所による。
休憩所といっても、特別な施設はなく、尿意を催した者のために雑草だらけの草むらにとまり、
そこらのスペースで好き勝手に用を足していくだけの時間。
こういった「暗黙のトイレ」的なスポットが設置されていることは、カンボジアにおいて結構あるらしく、特有の匂いが充満している場所が所々にある。

休憩所。写りが良くないが、用を足している人が写っている。

ローカルバスといえ、エアコンも機能していたし、頻繁に休憩所に止まるので(約10回)、大きなストレスはありませんでした。


シエムリアップに訪れる価値はあるか?

訪れるに値する、文化的な価値があります。
もちろん、衛生問題という難関を突破する必要に迫られますが、それを超えた価値がシエムリアップにはあります。
冒頭でも述べた通り、シエムリアップ(アンコール)は、15世紀まで、インドシナ半島の中心でした。

インドシナ最大の勢力を誇ったクメール王朝は、インドから引き継いだヒンドゥー・仏教文化を、インドシナ半島で開花させた勢力です。

後、アンコールを破り、最大勢力として台頭したアユタヤ、バンコクのタイ族勢力も統治のために先住クメール人の文化を利用しました
ラオスや南ベトナムも、クメール人の支配地から独立を勝ち取っていった文化圏です。

つまり、カンボジア人(クメール人)は、タイ、ラオス、南ベトナムの文化の根幹を形成した人たちの子孫なのです。
シエムリアップの都市には、その名残が残されており、アンコール・ワット、アンコール・トムといった遺跡群に最も凝縮されています。

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インドシナ文明圏の原点であるシエムリアップは、観光客の文化的素養を刺激し、物の見方(審美眼)に少なからぬ影響を与えてくれるでしょう。


総評


「文化良し、人良し、物価良し、安宿良し(南京虫のリスクあり)、ただし衛生悪し」というシエムリアップ。

食あたりは、注文後に調理してくれる店舗の利用で回避しましょう。
万が一、罹患した場合も、十分に効果のある薬が市内の薬局で安価に手に入ります。

蚊が媒介する感染症(デング熱、マラリア)や、犬が媒介する狂犬病のリスクは、蚊取り線香、夜中の出歩きの自粛などで避けるほかないでしょう。

しかし、こうした衛生リスクを超えた文化的価値が、シエム・リアップにはあります。

何より、優れた文化的価値に加え、物価も安く、人も穏やか。

推薦に十分に値する土地に、より多くの人が訪れていただけることを願います。