オッサンズ・オブリージュ

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

日本の地域統合について久しぶりの投稿

前回の投稿からおそらく1ヶ月近い月日が経っていると思います。

しかし、私の関心はまだ地域統合にあり、世界を覆いつつある現象にどう対峙するか、ということを呆然と考え続けています。

これらはいかに抗おうとも、何人も抗えないでしょう。なぜなら、EUという前例が存在するためです。


なんとか地域統合から利益を引き出そうと張り切る一方で、国家の歴史も民族も刷新させる、地域統合の暴力性になかなか頷けない自分がいます。

頭の整理を兼ねて、地域統合について思うことを書いてみたいと思います。



1 地域統合の流れ

世界が大航海時代(帝国主義)に包まれていた17世紀ごろ、

江戸時代にあった日本は、刀と鉄砲の武力で異国の侵入を阻止しました。

しかし、18世紀後半になり、西洋諸国が産業革命を迎えると、事情は変わります。

動力の革命、武器の改良、こうした欧米に花開いた文明の果実は、絶え間ない戦争と植民地統治の成果でした。

こうした技術革新により欧米とアジアの間には埋められない国力の差が開き、それまで鎖国を譲歩させてきた日本も、黒船の大砲の前に開国を余儀なくされます。


20世紀の日本人もこれと同じように、

・1980年代のアフリカ、南アメリカ、南アジアでの地域統合のはじまり

・1990年代の北米のNAFTA、東欧でのユーラシア連合の結成


日本はこうした世界的トレンドをスルーし、

ひたすら内需立国として、閉鎖的に時代を過ごしてきた感があります。(世界第4位の対外直接投資は立派)

しかし、バブル崩壊以降の日本は、後進国の台頭による産業の空洞化に頭を悩ませ、米国の同盟国としてサブプライム・ショックも直撃。

「失われた20年」という表現にも閉塞した経済情勢が表れています。

こうした日本に大打撃を与えたのが、2011年の東日本大震災です。

震災により貿易は大きな打撃を受け、これに累積債務問題も重なります。国家は内外の危機に瀕しています。

こうした中、登場した安倍首相は、「平成の開国」と呼ばれるアベノミクスが開始します。


これは外国人観光客の呼び込みによる内需振興策を伴いました。

最近では、首都はもちろん地方都市にまで外国人観光客の姿が目立つようになりました。

このこと自体は別段問題ではなく、飲食業、宿泊業、その他に与えるプラス影響を考えれば、むしろ評価すべき動向でしょう。

しかし、南米、アフリカをはじめ、現在進行中の地域ブロックが「モノとヒトの移動の自由化」から始まったことを考えれば、

我々が暮らすこの日本もまた、世界的な地域統合のトレンドに巻き込まれたと見なすべきでしょう。

中国人の爆買い、理解不能な韓流人気と政府の謎の受け入れ、東南アジア留学生の増加

これらは全て日本に迫る地域統合の予示に過ぎません。

つまり、地域統合のステップを、我々の社会も辿りはじめたということです。

その大きなきっかけとなったのが、2011年の震災と被害だったわけです。


このことは、日本が所属する「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」が国家に先立つ存在と化していくことを意味します。

つまり、加盟国である日本、中韓、ASEAN、オーストリア、ニュージーランド、インドといった国々の間で、

それまでお互いを隔ててきた国境が形骸化し、

加盟国の国民同士が(アイデンティティを捨てて)互いに同化していくことを意味しています。


2 日本が直面するの進捗状況

関税撤廃、ビザの緩和、人の移動の自由化など。

こうした、近年日本で見られるようになった現象は、地域統合の初歩的なステップに過ぎません。

日本より20年も前に地域統合を開始した南米、アフリカ地域の経験は、我々がこれから直面する事態を予示してくれています。

すなわち、関税の撤廃、人の移動の自由化の次に来るのは、「就職の自由化」です。

例えば、日本プロ野球(NPB)には、外国人規制があり、チームに加えることのできる外国人選手の人数に制限があります。

これがなくなるものと考えてください。

域内国であれば、それまで外国人だった者同士も、同じ域内の国民として扱われます。

これにより域内人の就業に制限がなくなるのですから、企業の人員構成を決めるのは能力と経営者の好みだけです。

企業の狙いが自国市場以外に向かえば、従業員の国籍も対象の市場に対応したものに変わっていくでしょう。

日本に立地する日本企業なのに、

内情は中国語が行き交う、グローバル環境に突入することも珍しくなくなるはずです。


これに並行して進むのが「国をまたいだサプライチェーンの構築」です。

多くの企業は、製造の全工程を自企業内で完結させることはしません。

例えば自動車製造でも、一つの製品を作るのに、部品から組み立て、製品管理、テストといった様々な工程が必要になってきます。

こうした工程を全て自分たちで行ったのでは、

莫大な人員と費用、時間がかかり経営が成り立たなくなります。

それよりかは、提携会社との間で工程を分担して、調達(輸入)、外注といった形で成果を買い取ってしまった方が、はるかに効率は高まるわけです。

現在は、一国の企業グループで製造過程を完結させるメーカーが目立ちます。

しかし、地域統合が発効すると、関税が撤廃されるため、輸入にかかるコストが低くなります。

いわば、「域内であれば、外国から仕入れてもコストかからない」状態です。

これにより、企業は提携会社の選択を、それまでの国境内(自国内)から地域統合の域内に拡大させて考えることができるようになります。

自国にあるメーカーよりも、製品、サービスなどの面で優れたメーカーが域内に見つかれば、関税なしで提携できてしまうのです。

瞬間に選択肢となるメーカーが増えます。

これまで、本音では海外に魅力的なメーカーがありながら、関税により提携を断念していたケースも少なくないはずです。

関税がなくなれば、拡大された国境の中で、相手は実質の国産メーカーです。悠々と提携に踏み切れるようになります。

こうした国境を超えたサプライチェーンの構築が相次ぐはずです。



3 これから日本に起きること

現在、ガソリン車との代替が進められている電気自動車は、構造が単純なので、複雑な製造技術を必要としません。


製造は、基本パーツのアセンブリ(組み立て)になることが予測されています。

つまり、各部品メーカーから取り寄せたパーツを、自動車メーカーの内部で組み立てるだけの簡単な作業です。

こうした電気自動車は、「国境を超えたサプライチェーンの構築」にとって、追い風になるでしょう。そして、地域統合の動きを加速させるはずです。

つまり、一つの電気自動車を作るのに、メーカーは域内の複数の会社と提携を結びます。

それに合わせて、域内で就業、出張、駐在などが増大し、国境を超えた人の結びつきも加速するだろうという予測です。


電気自動車の普及は、遅くとも2020年には始まります。

つまり、かつて長州藩や薩摩藩や土佐藩や佐賀藩や・・・江戸幕府が同じ一つの日本となったように、

日本が、中国が、韓国が、ASEANが、オーストラリアが、ニュージーランドが、インドが、

同じ一つの東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に統合する流れは、2020年ごろから加速すると推測されます。

ちなみに、この地域ブロックを提唱したASEANは、その経済中枢をすべて華僑人材に掌握されていますから、

中国主導の地域ブロックだと理解しておいてください。