オッサンズ・オブリージュ

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

ユーラシア経済連合の貿易 リカードの比較優位性

比較優位とは、経済学者のデヴィッド・リカードによって提唱された概念で、貿易理論の概念として用いられています。

自由貿易の効率を高め、国際分業性を高めるにはどうすればいいのでしょうか?

リカードはこう考えました。

自由貿易に関わる各主体が、自分の最も得意とする製品(生産コストが低く済む)を大量生産して輸出に回し、

逆に自分が苦手とする製品(生産コストが高い)を他国からの輸入で賄えば良い。

要は専門分担です。

こうすることにより、国際分業性が高まるというわけです。

保護貿易の下でかかっていた関税コストも、自由貿易ではなくなります。

国ごとに得意な製品を大量生産して、無関税で域内に流通させれば、生産効率が高まるというわけです。

リカード貿易問題の最終解決――国際価値論の復権

この理論は、世界の地域統合化と自由貿易化の動きの中で、多いに注目を浴びていくはずです。

今後は、各ブロックの比較優位構造を、外観だけでも把握していきたいと考えています。

さしあたり今回は、ロシア主導によるユーラシア経済連合の貿易構造を見てみたいと思います。




カザフスタン 
輸出 : 石油、石油製品、金属・金属製品、化学製品、食料品
輸入 : 機械設備、化学製品、食料品、金属・金属製品、鉱物製品、繊維製品

石油やウランなどの天然資源に恵まれた国です。
しかし、旧ソ連国なだけにインフラの未整備など、工業化を進める上での問題は山積みです。

現在は、資源輸出が盛んです。輸出総額の70%以上を鉱物性生産品が占めます。

2008~2012年の間は、EU諸国向けの輸出が50%前後を占める傾向がみられ、
ユーラシア連合の加盟国であるロシア、ベルラーシへの輸出額は、輸出総額の10%にも満たないようです。


ベルラーシ
輸出 : 鉱物、化学製品・ゴム、機械・輸送機械、食料・農産品
輸入 : 鉱物、機械・輸送機械、化学製品・ゴム、食料・農産品

ベルラーシは、石油製品の輸出が基幹産業です。
そのため石油が欠かせないのですが、石油を自給できません。

したがって、ロシアから輸入する石油に依存しており、ロシア依存を形成していました。
ところが、民営化の遅れなどを理由に、2013年にロシアからの支援が打ち切られると、今度は中国へ接近を始めます。
規模の大きな中国街も建設が予定されており、中国資本による産業再編が行われる可能性もあります。


タジキスタン
輸出 : 繊維・繊維製品、電力、青果
輸入 : 石油製品、鉱物、小麦・小麦粉、動植物油、砂糖・菓子類

タジキスタンは原産品の輸出が盛んです。
具体的には、生アルミ、ゴールド、綿花、鉄鉱石、亜鉛鉱。
一方の輸入は、石油製品、小麦、ゴム、石油ガス等です。

輸出相手国は、カザフスタンを除けば、ヨーロッパの国が目立ちます。
輸入は、中国の隣国だけに、中国経由が多いです。

輸出品は、旧CIS圏ということで工業化が遅れていると見られ、現産品が主流です。
輸入品の需要は、石油製品が多いだけに、石油産業の盛んなベルラーシと相性がよいかもしれません。


アルメニア
輸出 : 食料加工品、アルコール・ノンアルコール飲料、硫黄・土塁、鉄鉱石、燃料
輸入 : 穀類、動物性・植物性食用油脂、タバコ類、製薬品、化粧品など日用品

周辺諸国との地域紛争が収まらない一方でロシアとの関係は緊密です。
輸出品には、食料加工品や原料が目立ちます。
輸入品には、石油、タバコ、製薬品、化粧品などの日用品が目立っており、3倍超の輸入超過に陥っています。

自給自足がままならない国ですから、自由貿易は大きなメリットになりそうです。


キルギス共和国
輸出 : 貴金属、鉱物製品、繊維製品、野菜・果物
輸入 : 鉱物製品、運輸関連製品、機械設備、化学製品

2012年の貿易では
貴金属、宝飾品、鉱物製品の輸出が全輸出の約半数を占めています。
一方の輸入は、鉱物製品、運輸関連製品、機械製品など。

2012年の貿易では、輸出16.83億ドルに対し、輸入は53.73億ドルの輸入超過。

国土の大部分が山地なこともあり、工業は育っていないようです。
農業や牧畜が盛んで、工業関連の輸入需要が目立ちます。


ロシア
輸出 : 燃料・エネルギー製品、金属および同製品、化学品
輸入 : 機械・設備・輸送機器、化学品、食料品・農産品

石油、天然ガス、金属などの一次産品が輸出の大部分を占める資源国です。
石油価格を重要な外交カードとして使い、CIS圏を治めてきましたが、2014年の原油価格暴落はロシアに大打撃を与えています。
輸入品には、機械、化学品、食料品などです。食料品需要は、ユーラシア連合の加盟国から見て相性がよいかもしれません。


以上、簡易的ではありますが、ユーラシア連合の貿易構造です。

内情は、旧共産圏だけあって全体的に工業化の遅れが目立つように感じました。
実際、盟主のロシアを含めた加盟国全体で、工業製品需要を自給できていません。
ロシアが、世界屈指の工業力を持つ日本や中国との関係を深めようとしているのも、そのためなのでしょう。