オッサンズ・オブリージュ

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中国の自由貿易協定

中国は、輸出中心の国として自由貿易協定に積極的な構えを見せています。

アフリカや南アメリカ、ロシアの地域統合では、

統合の対象は経済だけでなく政治、通貨まで含まれています。

共通通貨の採用、単一の防衛組織、統一政府の強権など、

これらの地域連合は、大規模な市場開放ばかりか、政治的主権を統一政府に移譲し、国家群は州と化す「合衆国」に向かっています。

しかしながら、現状における中国の地域統合は、もっぱら経済に限定され、政府統合のような動きは見られません。

上海協力機構のようなものもありますが、現状は、経済協定とは切り離されています。

そもそも、中国が対象とする地域ブロックは、日中韓からASEAN、オーストラリア、ニュージーランドまでを含みます。

地域ブロックの1つのASEANですら、内情の違いから政治統一は不可能に近いとみなされているのですから、

政治的、宗教的背景にばらつきのある国々を1つの政治秩序で纏めることは困難です。


しかしながら、中国にとっての地域ブロックは「中華圏」と同様であり、

協定を通して中国が経済覇権を狙っていることは間違ありません。

中国の経済覇権が政治支配に及ばないとは言い切れませんが、

311の後遺症に苦しむ日本も、目下、地域ブロックに参加して市場開拓を進めるしかなさそうです。


さて、中国の自由貿易協定は、地域ブロックの枠組みで行われるものと、2国間で結ばれる協定に分かれます。


地域協定では、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)が推進されています。

RCEPは、TPPの盟主がアメリカから中国に変わったような協定で、

交渉過程や内容は非公開とされ、リーク以外に市民が情報を得ることはできません。

参加国は、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドにASEAN10カ国を加えた16カ国です。

また、TPPのISDS条項のようなものも含まれており、

国民保護のための政府規制によって、企業の利益が損なわれた場合は、企業が政府に訴えを起こすことも可能です。

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一方のFTAAPは、2020年までにアジア太平洋経済協力(APEC)において、貿易から関税や非関税障壁を取り除くことを目指しています。

APECは世界人口とGDPの約半分を占める団体です。

加盟国には、中国のライバルであるアメリカも含まれており、

FTAAPにより米中間の自由競争が実現すれば、世界経済のパワーバランスに変化が起きるかもしれません。


2国間協定としては、

アメリカからオセアニア、アジア、ヨーロッパまで、世界中に散らばっており、

大部分は、開始が2000年代からと遅く、現在も関税引き下げは進行中です。

日本との間に2国間FTAは結ばれておりませんが、

日中に韓国を加えた日中韓FTAが実現に向かいつつあるようです。

中国が日本に対して天然資源の輸出制限を行うことを防ぐためにも経団連は必要であると判断しているようです。


ASEAN諸国の長者の上位は、華僑人材で占められていることが多いです。

そんなASEANと中国の間にも、ACFTAにより自由貿易協定が結ばれています。

2011年に発効された協定では、

中国とASEAN6カ国(ブルネイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポール)の間で取引される90%以上の製品に関税が撤廃されています。

残りのASEAN4カ国とも2015年に関税撤廃に踏み切っています。

中国の拡大政策を批判するASEANの政治家が目立ちますが、

そうした動向の裏側で経済資本は手を握り合っているのでしょう。