オッサンズ・オブリージュ

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

ブラジル経済を調査する過程で見えてきたこと。世界統一政府だと?

豊富な天然資源に恵まれながらもレンティア経済を回避したブラジルは、ラテンアメリカ最大の工業国として、中南米最大の人口とGDPを誇っています。

しかしそんなブラジルも、
もはや「ブラジル」という1国単位の視点から眺めることは、意味をなしません。


ブラジルが関与する関税や貿易に関わる協定の大半は、「メルコスール」など経済ブロックの一員として結ばれています。

実際、ブラジルの所属する南米では、EUを模範とした市場統合の動きが進んでいます。


これまで南米では、地域統合に先立って、経済統合が進められてきました。

南米地域での共通市場の創設を目標とした「ラテンアメリカ自由貿易連合」が創設されたのは、1960年のことです。

これに続き、経済統合の推進主体として「メルコスール」と「アンデス共同体」という2つのブロックが作られます。

この2つのブロックのそれぞれで、域内の自由貿易と域外との共通関税を進め、

最終的には両者を統合し、南米の統一を達成することが計画されています。

ブロック内では、域内関税が撤廃され、域外との関税も各加盟国で統一されました。


そればかりか、地域ブロックは「国家」同然の性格を持つようになっています。

アンデス共同体」に属する国民は、域内国の国境を通過する際にパスポートを提示する必要がなくなったばかりか、

2001年にはアンデス共同体のパスポートまで作られています。

一方の「メルスコール」もまた、アンデス共同体の準加盟国なので、アンデス共同体と似た実態に近づいていくでしょう。

既にアンデス共同体とメルコスールの間には、自由貿易協定が結ばれ、ブロック対ブロックでの統合に向かっています。


そしてブロック内の経済統合に続き、政治統合の動きも現れ始めています。


2004年には、南米12カ国の首脳会議の宣言により政治、経済での統合組織「南米共同体」が発足すると、


2007年には、「同一通貨、同一パスポート、一つの議会」を目指す「南米諸国連合」に改組されました。


防衛に関しても、域内で単一の「南米防衛評議会」が設置されるなど、「南米諸国連合」が国家同然の存在に変貌しつつあります。


さらに2011年4月には、地域統合の範囲を中米のメキシコから南米、カリブ海の島々まで含めることに向けた外相会合が開かれています。


もしこの案が実現すれば、中南米カリブ海地域を包摂する巨大な共同体が出現することになります。


そして、外相会議から3ヶ月後の2011年7月には、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体」が正式に発足しています


すなわち、「アンデス共同体」で起きた「共通パスポート、域内移動の自由化」の動きが、中南米地ーカリブ地域の全域に広がると見てまず間違いないでしょう。


対外貿易や協定も国家ではなく、ブロック単位で行われるようになっている以上、それは「国家」の先にあるものなのかもしれません。


アフリカでも、南部アフリカ開発共同体(SADC)と南部アフリカ関税同盟(SACU)という2つの地域ブロックによって統合に向かいつつあることは、以前の記事で紹介しました。

南アフリカ共和国のBRICS加盟に覚える違和感から加盟の理由について考えてみた - 気になったことなど


この記事では、あらゆる分野に脆弱性を持つ南アフリカ共和国が「BRICS」に並べた理由は、

アフリカ連合」における首都機能としての期待が込められているのではないかと結びました。


根拠としては、

南アフリカ共和国がアフリカ最大のGDPを持つこと。

南アフリカ共和国ヨハネスブルクに、アフリカ最大の金融都市を持ち、金融センターの条件を備えていること。

などを挙げました。

ブラジルもまた、中南米地域で最大のGDPを持っています。

金融においても、サンパウロは、南米最大の金融都市です。

このように、地域統合後の首都にふさわしい能力を備えています。

そうであればブラジルもまた、

アフリカ連合」における南アフリカ共和国と同様に、首都としての役割を求められているのではないでしょうか。

そのために、ゴールドマンサックスはBRICSを作り、世界中のマネーを各地域ブロックの首都になる国に集めたのだと私は考えます。


つまり、広大な「ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体」の中で、

現在のブラジルは首都機能を果たす国(地域)になるのだと思います。

(ちなみに、ブラジルは電力供給の9割を水力発電に依存しており、

原子力発電の占める割合は全体の3%程度に過ぎません。

近年、原発増設の動きもあり、更なる発展の可能性を秘めています。)


一言

日本も民主党時代に強行された「留学生の学費無償化」が尾を引いています。

これは「自国学生には高額な学費を請求、人によっては奨学金で奴隷しておきながら、外国人に対する学費は無償化」という理解不能なシステムですよね。

しかしそれもまた、世界的なトレンドに乗ったまでなのかもしれません。

つまり、無理やりな理由をつけてでも、地域統合のために、外国人の少ない日本に外国人材を連れてくる必要があったのでしょう。

望むと望まぬに関わらず、世界は1つの統一国家を目指しています。その1段階として、我々の時代は世界のブロック化に向かっているようです。