Ossan's Oblige ~オッサンズ・オブリージュ~

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

電気自動車の普及がもたらすプラチナ価格への影響

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自動車の電気化の動きが世界的に広がっています。

世界規模の経済発展は環境汚染を悪化させ、温室効果ガスがもたらす異常気象など、人類の脅威を生み出しました。

こうした中、電気モーターの回転で動き、排気ガスを出さない「クリーンな」電気自動車に白羽の矢が立っています。

フランス政府は2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を終了する方針を宣言。

高い人口規模を持つインドや中国も、電気自動車の販売比率を高める取り組みを進めています。


電気自動車は排ガスを出さないので、ガソリン車に不可欠な排ガス浄化の触媒を必要としません。

プラチナは、ガソリン車の触媒に使われる主要な材料でしたので、ガソリン車の需要が減れば、間違いなくプラチナ需要も減少を余儀なくされるでしょう。

こうした状況の中、次のような疑問が生じるのではないでしょうか?

プラチナ需要の減少は、どの程度が見込まれるのか?

ガソリン車の減退に伴うプラチナ需要の減少は、プラチナ価格を長期下落に向かわせるのではないか?

投資家はプラチナ市場の先行きをどのように見ていく必要があるのか?

こうした疑問を掘り下げてみたいと思います。


1 これまでのプラチナ需要の内訳と先行き

プラチナは自動車製造の過程でどのように使用されているのでしょうか?

2016年のプラチナの供給量は249.8トンでした。(産出量・193トン+リサイクル量・56.8トン)

これに対して、2016年のプラチナの自動車関連の需要は103.8トン。

これは、プラチナ需要の約41%を、自動車関連の需要が占めていることを意味します。

自動車の触媒1つにつき使用されるプラチナは2~5g。また触媒だけではなく、点火プラグや酸素センサーといった部品にもプラチナが使用されているそうです。

(参考 : 2016年プラチナ需給と2017年の需給見通し | Gold News

2016年のプラチナ需要自動車関連 103.8トン(40.8%)
宝飾品   77.5トン (30.4%)
工業    53.7トン (21.1%)
投資    19.6トン (7.6%)

したがって、仮にガソリン車が全て電気自動車に置き換わった場合、プラチナ需要の約41%が消滅することになります。

その場合、現在の価格を維持するには、約59%を占める投資・宝飾品・工業の需要でカバーする他ありません。

つまり、これまでのプラチナ高を牽引してきた自動車関連に代わる新たな需要が創起されない限り、プラチナ価格は値崩れを起こす可能性が高いということです。


さらに、ガソリン車が使われなくなるということは、現在市場に出回っているガソリン車からのプラチナ回収の動きが相次ぐということです。

廃棄されたガソリン車からの回収の動きが強くなると、リサイクルにより、プラチナの供給量が増加するので、プラチナ余りに拍車がかかります。

こうした動きは、確実にプラチナ価格の値下げ圧力として働くでしょう。


2 プラチナの資源的特性

プラチナは、工業需要が総需要の約20%を占めるほど、優れた資源的特性を持ちます。

例えば、以下のような特徴は、プラチナが持つ優れた特性です。

高い融点(1,768°C)
高い沸点(3825°C)
触媒活性
腐食防止
血液を酸化しない
体内への伝導性

こうした特性が評価され、自動車以外にも、石油、ガラス、燃料電池、ペースメーカー、ハードディスクや抗がん剤といった分野でも活躍しています。


2 貴金属としてのプラチナの特性

プラチナは地球上に存在する総量において、金や銀を凌駕するほど、希少性の極めて強い資源です。

そして、貴金属なので酸化にも強く、債権のように、価値がなくなることは絶対にありません。

したがって、絶対価値を持つ安定資産として資産保全に役立ちます。

つまり、投資家からの一定の需要が確実に見込めるということです。


3 プラチナ需要の減少をどう評価すべきか?

プラチナの優れた特性を踏まえれば、仮に値崩れを起こしても、低値のまま放置される可能性は極めて低いです。

例えば、下落後に新たな産業需要が誕生すれば、すぐさま買い占め競争が起こり、価格を取り戻す可能性が高いといえます。

一過性の暴落はむしろ買占めのチャンスと捉えるべきでしょう。

もちろん、フランスのガソリン車販売停止も2040年からなので、目線は長期で捉えておくべきです。

少なくとも、新たな需要が創起されない限り、2040年まで下落圧力が続くことは記憶の片隅に置いておくべきでしょう。