オッサンズ・オブリージュ

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自電車?電気自動車の普及がもたらすプラチナ価格の暴落

今後急速な普及が予測される電気自動車ですが、この電気自動車は排気ガスを出さないため、ガソリン車のような触媒が設置されないそうです。


この事がプラチナ相場に及ぼす影響と、それを踏まえて長期投資家はどう動くべきか?をテーマに考えてみたいと思います。




これまで自動車の触媒は、プラチナの主要な需要として位置付けられてきました。
新興国市場が伸びた時期には、世界的な自動車需要に合わせてプラチナ需要も高まり、価格を押し上げています。
ガソリン車の製造においては、排気ガスに含まれる一酸化炭素など、人間に有害な物質の無毒化のために、プラチナを使った触媒が不可欠だったのです。
しかし、新世代の電気自動車では、プラチナ需要の中心である「触媒」を設置する必要がなくなります。
理由は前述の通り、電気自動車はモーターと電気の働きによって動くため、ガソリン車のような排気ガスを出さないためです。

排ガスの問題が解決されるとなると、プラチナを含んだ触媒は活躍の場を失います。
この触媒需要の減退が、プラチナ価格に与える影響は大きいと言わざるをえません。

フランス政府は2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を終了する方針を宣言しています。
インドや中国の政府も、規制と補助金を使って電気自動車の販売比率を高める取り組みを進めています。

こうした動きを受けて電気自動車が普及すれば、ガソリン車から電気自動車への乗り換えが相次ぐでしょう。
そうして廃棄されるガソリン車が増えると、役目を終えたスクラップ自動車からのプラチナ回収の動きが広がります。このリサイクルの高まりにより、大量のプラチナ余りが生まれ、プラチナの産出ボリュームが拡大します。
その一方で、これまで主要な需要だったガソリン車の需要が冷え込み自動車触媒の生産も落ち込むため、プラチナは余る一方です。

こうした動きは、終局的にはプラチナ価格の大幅下落をもたらすでしょう。



ところで、プラチナは自動車製造の過程でどのように使用されているのでしょうか?

自動車の触媒1つにつき、プラチナは2~5g使用されているとされており、また触媒だけではなく、点火プラグや酸素センサーといった部品にもプラチナが使用されているそうです。

全体的な需要としては、
BullionVaultさんのウェブサイトによると、2016年のプラチナの産出量193トンに対し、自動車関連の需要は103.8トン。これはプラチナ需要全体のうち約54%を自動車関連が占めることを意味します。
これに対し、投資需要は19.6トンと全体の10%ほどに過ぎません。
(https://gold.bullionvault.jp/%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/2016%E5%B9%B4%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%81%E3%83%8A%E9%9C%80%E7%B5%A6%E3%81%A82017%E5%B9%B4%E3%81%AE%E9%9C%80%E7%B5%A6%E8%A6%8B%E9%80%9A%E3%81%97)

したがって、需要の過半数である自動車需要が落ち込めば、全体の10%に過ぎない投資需要ではカバーすることはできません。
「プラチナが買われない」事態へとつながり、供給過剰の方向に向かう事は明らかです。
供給過剰は価格の押し下げ要因として働くため、電気自動車の普及によってガソリン車の生産減退が起こると、プラチナ余りの状況が出現することになるでしょう。
電気自動車が普及すれば、プラチナ価格が押し下げられる可能性大です。


しかしながら、先日お伝えした通り、プラチナは地球上に存在する総量において、金と比べても数十分の一に満たないなど、希少性が極めて強い資源です。
そして、貴金属なので絶対に価値がなくなることはない。
そうした特性を評価して、仮に下落が起きても再び回復する可能性は高いです。
例えば、下落した後に別の産業需要が生まれれば、需要の高まりとともに価格が暴騰する可能性は極めて高い。
一過性の暴落はむしろ買占めのチャンスだと考えられます。

電気自動車の普及が現実味を増してきたら、プラチナ価格からも目を離すべきではありません。

もちろん、フランスのガソリン車販売停止も2040年からなので、だいぶ先の話になりそうですが・・。