Ossan's Oblige ~オッサンズ・オブリージュ~

文化とは次世代に向けた記録であり、愛の集積物である。

金取引の利益にかかる税金は2種類。保有年数によっても異なる。

税金は、あらゆる取引で留意しなければならない問題です。

結論からいうと、金は特定の条件を満たせば、税負担を大きく減らすことのできる投資家に優しい資産だといえます。

本記事が、これから金投資を始めるか悩んでいる人の判断の助けになれば幸いです。

1. 金取引の利益に課される税金について

ここでは、金取引に関わる税金の種類、またそれぞれの種類に応じた税率について説明します。

金取引の利益に課される税率は大きく2種類

金取引の利益に対して課される税金は2種類あります。

・総合課税
・分離課税

総合課税は、給与所得と合算して所得税として税率が決まります。

分離課税は、一律20.315%です。

金取引の税率は、取引の形態によって決まる

金取引の利益に2種類の税率のどちらが課されるかは、取引の形態によって変わります。

・金現物を売買→総合課税(譲渡所得となり給与所得等と合算した所得税)
・証券会社の口座などを通して売買→分離課税

金現物を扱う場合の利益は、譲渡所得と見なされます。
この場合、最終的な税額は、給与所得、不動産などの譲渡所得といった所得と合算されて求められ、所得水準に応じた累進課税の適用を受けることになります。

一方、証券会社の口座を通してなされた取引の利益は、金融取引による利益とみなされ、分離課税の適用を受けます。
この場合、税計算は、証券会社に源泉徴収の義務として課されます。
したがって、取引の主体が確定申告をする必要はありません。
取引の後、証券会社の口座に税金分(20.315%)が差し引かれた数値が反映されます。

2. 譲渡所得の場合、金の所有年数によって所得額の計算が変わる

金現物を売買する場合、生じた利益は譲渡所得として扱われます。

この場合、譲渡所得の金額は、金現物の保有期間(5年)を基準に変化します。

保有年数が5年を超える場合、所得額に1/2の節税メリットを受けることができます。

保有年数が5年に満たない場合、この節税メリットを享受することはできません。

とはいえ、利益から差し引ける特別控除50万円の枠は、保有年数に関係なく受け取ることができます。


○ 金の保有期間が5年以内の場合
譲渡所得 = 金の売却代金-(取得額+売却手数料+特別控除50万円)


○ 金の保有期間が5年以上の場合
譲渡所得 = 金の売却代金-(取得額+売却手数料+特別控除50万円)×1/2


金の保有年数が5年を超えている場合、年数に関係なく適用できる特別控除50万円に加えて、譲渡所得の算定に1/2のボーナスがつきます。

1,000万円の利益を500万円に縮小できれば、手取りの金額は大きく変わってきます。

なお、同じ譲渡所得でも、営利目的で取引された所得は、事業所得とみなされます。
その場合は、税額の算定方法も変わってくるので注意してください。

3. 金取引の税金をシミュレーションしてみましょう

実際にシミュレーションしてみましょう。

ケース1 金現物を扱う場合

金現物を扱うケースを想定します。

1g3000円で購入した金現物1kg(300万円)を5年後に1g5000円の時点(500万円)で売却した場合、最終的な課税額はいくらになるのでしょうか?

まず、計算に必要な条件を整理します。

・ 取引の形態 : 現物取引 → 譲渡所得
・ 保有年数 : 5年 → 所得に1/2ボーナス
・ 最終利益 : 198万円3800円(売却代金500万円-{取得額300万円+手数料16,200円)
・特別控除 : 50万円

(田中貴金属工業株式会社の取引手数料の早見表)
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※1kgの金現物でも500gバーを2回に分けて売却すれば手数料0で済みます


計算します。
最終利益198.38万円 - 特別控除50万円 = 148.38万円
さらに、保有年数5年超の1/2ボーナスを受けて、最終的な譲渡所得益74.19万円が算定されます。

[500万 - (300万 + 1.62万) -特別控除50万円] * 1/2 = 74.19万円

このケースの場合、金現物の取引なので、所得は総合所得に合算されます。
その他、給与所得などの所得とあわせて所得が決定し、所得の水準に応じた税率が適用されます。

(所得税の累進課税)
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最終的な所得税の計算は、個人の状況によって異なるので、詳しくは省略します。

・最低税率 → 所得195万円以下の5%
・最高税率 → 所得4,000万円超の45%

譲渡所得は、他の所得と合算されるため、純粋に金へ課される税額を割り出すことはできません。

ここでは便宜的に金以外の所得を無視して計算します。

・所得税率5%の場合の手取り ・・税金3.71万円
→ 手取り196.29万円

・所得税率45%の場合の手取り・・税金33.39万円
→ 手取り166.61万円

あくまで便宜的な計算ですが、同じ200万円の利益に対する税額に30万円の開きが出ることが分かります。

現物取引は、その他の所得の合計額の大きさに左右されることが分かります。

また保有年数が5年以下であれば、所得の1/2ボーナスを得ることができず、さらに税負担が重くなることにも留意が必要です。

ケース2 金の信用取引を行う場合

証券会社を通してインターネット上の口座で金の信用取引を行う場合を考えます。

金は現物を扱わなければいけないわけではありません。
証券会社により金価格と連動して動く銘柄が用意されており、一般の株式と同様に売買することでオンライン上でトレードすることができます。

1g3000円の時に購入した1kg分の金ETF(300万円)を5年後に1g5000円の時点(500万円)で売却した場合、最終的な課税額はいくらになるのでしょうか?

基本的な条件は以下の通りです。

・ 取引の形態 : 金融取引 → 分離所得
・ 保有年数 : 5年 → 関係なし
・ 最終利益 : 200万円(売却代金500万円-{取得額300万円+手数料0円)
・特別控除 : なし

取引の形態は、金融取引です。
したがって、保有年数の長さは問われず譲渡所得のような特別控除もありません。

手数料は0で取引できる証券口座を選ぶとして0円。

このような条件下では、最終所得200万円に対する分離課税20.315%を差し引いて残った金額が手取りとして計算されます。

税金 → 200万円 × 0.2315 = 40.63万円
手取り → 200万円 - 40.63万円 = 159.37万円

金融取引のため保有年数ボーナス(5年以上)や特別控除が適用されないことが、譲渡益の場合に比べて、手取りを小さなものにしています。

オンライン上で簡単に安全に決済できる反面、税制のメリットを受けられないまま一律に20.315%が差し引かれることになります。

所得の合計4000万円超の富裕者階級にとっては、手取りの金額は多く残せる一方、庶民にとっては税制メリットのない不利な投資形態といえるでしょう。

4. 金取引に関わる税金のまとめ

金の現物を扱う取引では、保有期間5年超の節税ボーナス(利益1/2)、特別控除(50万円)といった税制メリットが用意され、その他の所得との合算で累進課税により課税額が変わります。

一方、証券会社を通した金融取引の場合、利益を縮小する税制優遇はなく分離課税として一律20.315%が課されます。

どちらがメリットが大きいかは、個人の状況によって変わります。

所得が4000万円を超えるほど大きい人は、分離課税を使える証券取引が有利でしょう。

それ以外の所得の人は、現物を所有して5年後に売却すれば特別控除50万円と利益1/2の優遇措置を受けることができ、最も手取りを大きくできます。

この辺りは所得に応じて人それぞれですし、また金の現物は盗難リスクもあり保管が難しいといった事情もありますので、個々人の判断に委ねられます。

本記事が参考になれば幸いです。